移民讃歌
#01
2026年2月12日「沖縄移民125年の記録」映画製作発表フォーラム
元沖縄県知事・りゅうせき参与 稲嶺恵一
移民讃歌EP01 稲嶺恵一
すみませんが、92歳に免じて座ったまま喋ることをお許し願いたい。 私は実は移民の孫でございます。私の祖父、稲嶺盛玉というのはペルー移民。今から107年前にペルーに渡りました。
そして向こうで18年間頑張って牧場をやって一時成功したんですけど、全部飼っている牛が死んじゃって、もう心身ともに消耗して亡くなったんです。 当時の沖縄はものすごく貧乏でした。私の祖父は、元々農家の三男坊でした。農家の長男は跡を継ぐけど、次男以外は移民をするか、あるいは大阪に出稼ぎに行くとか、そういうことしかなかったんです。祖父は身ひとつでペルーに行ったんです。 ところがその大変な苦労の中で、せっせと送金をしてくれたのは実はこの移民の方々です。今は移民って言葉は使いませんで、海外のウチナーンチュとか世界のウチナーンチュという言葉を使いますけど、当時はまだ移民と言っていた。 だから当時のいろんなデータを調べますとね、県の収入の中で一番多いのが、実は送金だった。皆さん、そういう時代もあったんです。本当に歯をくいしばって頑張りながら故郷を思って自分はろくに食べないでせっせと沖縄にお金を送ってきた。これが現実です。

#02
「移民物語」あれこれ
上原盛毅
移民讃歌EP02 上原盛毅
第一回の芥川賞はブラジル移民をテーマにした石川達三の『蒼氓』(新潮社)であった。一九三五年、作者が三〇歳の時である。彼自身ブラジルに渡航し、農場に滞在して、その体験に基づいて書き上げたといわれる。タイトルの厳しさとは逆に、簡潔、平易な文体で読みやすい。 作品は三部からなり、第一部「蒼氓」、全国から一千名近い移民希望者が神戸の「国立移民収容所」に集まり、八日間の渡航訓練を受けるのだが、彼らの殆どはブラジルがどこにあるのか想像もできないような素朴な農民たちである。貧困ゆえに故郷を離れざるを得ない事情やしがらみを抱えながら、中には偽装家族を構成してまでも移民する東北農民の家族も含まれている。それらの葛藤を乾いた筆致で淡々と描く。偽装家族とは「五〇歳以下の夫婦及びその家族」という移民の条件を満たすために二つの家族の男女が形式的な結婚届を出して一つの家族に成りすますものであり、初期の募集段階から移民会社の誘導によって頻繁に行われていた。 第二部「南海航路」ではこれらの集団が移民船に載せられ、後戻りのできない四五日間の船旅により故郷への思いを断ち切り、ブラジルでの生活に期待を寄せる心境にな

#03
映画製作委員会事務局副代表幹事
嵩元盛兼
移民讃歌EP03 嵩元盛兼
8月、玉城デニー知事を筆頭に県内40を超える市町村長と関係者がハワイとカナダの移民125周年記念に参加した。国内で屈指の移民権沖縄、多くの苦労を乗り越えて、今では42万人を超える県人が世界で躍動している。 その始まりには、もうかって「親孝行」をするという目的から、一旗上げて成功を目指す「雄飛の精神」があった。しかし、現実には約束と違う土地だったり地域の疫病など、想像を絶する苦難の連続だった。最近やっと幾つもの出版やドキュメントによって移民の実態や感動も知られるようになった。 第2次世界大戦の地上戦で何もかも失った沖縄の実情を知った海外の県人は、自分たちの苦しい生活の中から頑張って文房具やお金を送ってくれた。ハワイ県人会が北米・南米から浄財を集め550頭の種豚を送ったこと、それは太平洋の嵐も機雷も超えた綱渡りの偉業だった。また、送られて来た豚を我慢して食べず、沖縄中に広げてくれた先人たちの「チムぐくる」も、全ては過去の物語として忘れられつつある。 世界がつながり、商品の流れも人の動きも早く大きくなったグローバル国際社会。しかし、トランプ米大統領がメキシコとの間に造る「国境の

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